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いつだって間に合わない。
こんなふうに、走り去るぎりぎりをつかまえて。
これも写真や、ひとの気持ちや、自分の決心に限ったことじゃない、…か。
いつも、いまだ、と思ったときはうしろすがたを見せて走り去ってる。

とてもぎこちないな。
シンプルにしようと思っているのだけれど。
実際の毎日にはものごとが山積していて、だからついそれを跨ぎ越して落ちついてしまおうと思うんだけど…やっぱりそれらはもこもこと異物となってからだを刺す。
ありあまるくらいの時間がないと動けないなんて、だめだよ。
いつだって間に合わないんだから。

詰め込みたかったのは新しさでからだを満たすためじゃなく、欲しいものに気付き、集約して、そのほかのものを手放す決心をするため。
どこかへ知らない風景に出会いたいのは古い記憶をつれてくるため。


すっと、洗いざらしで美しくたっていたい。
なんにもいらないんだ。
私のなかの雑多なものは。
でも世界は、全部ほしいんだけど。