* 夜と骨



誰もいない港。

オレンジのひかりが全部を静かに止めて、かすかに揺れる足下と舟がこすれてきいきい鳴く。
しおのかおりと溜まったいろんなものの匂い。


機械の入り組んだ仕組みを眺めるのが好き。
その働きを知りたいとは思わない。
ただ、その複雑さや細かさをつぶさに眺めたいだけ。

骨が好きなことと機械の骨組みが好きなこと、
空を見上げて樹の枝が透けて見えることと細かいレースやモヘアの惹かれること、
少しずつ関連してる。


鉄骨の階段も。


こんなに人間のこころのありように惹かれているのに、肉もなにも洗われてしまった骨のことを考える。

たぶん、まだその段階にたどり着かないんだ。
まっさらにすることでまだ、いっぱいなのかもしれない。