引っ越しのため仕事はやらず(やりようがない)ひたすら歩き回りおしゃべりをしお水を飲む。
早く引き上げてリハーサルに出たかったけれどやはりそういうわけにも行かずにお菓子を食べたりカフェに連れていってもらったり。って本当にこんなときは帰らせてください。
給料泥棒の一日を詫びつつ帰り支度をしプレゼントを買いに。
なかなかできないけどほんとうは贈りものを考えるの、好きだ。
好きというだけで上手ではない。だから時間がかかって結局ぎりぎりになって「えーこれ?」みたいなものに決定してしまいがっかり…のようなこともしばしば起こる。
やっぱり納得がいかなかったり喜んでもらえないかも…と急に弱気になって渡せなかったものも、うちにたくさん残っている。
自意識過剰。
そのひとのことを普段たくさん考えていないとぴたっとくるものはすぐには浮かばなくて、贈りものを選ぶときに改めて想いを馳せることも自分とそのひとをつなげることのような気がして微笑みたくなる。
自分のものを買うよりずっとうきうきするしどきどきもするし待ち遠しい。
あちこち寄って手をいっぱいにして、帰った。

贈りものも、「今」も、英語ではpresent。
プレゼントって、今あなたのことを考えているこの時間をはい、って手渡すこと。
なんでもないことみたいにそう話し、ちゃぷちゃぷとこころを震わせてくれたひとへのおくりもの。

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自分が贈った今まで一番面白かったプレゼントは中華鍋。
お部屋に宝の地図を残してそれをずっとたどると宝ものに到着するように。
見つけたあと五目中華ごはんをつくってもらった。 ←そこまでプレゼントしたれや、と仲間にあきれられつつ。
一番大変だったプレゼントはソファ。
びっくりさせたくて留守の隙を狙って届けてもらったのはいいけれど、すんっごく重たくてドアからも角度を変えないと入らなくて包んであるダンボールもばかでかくて、うんうん言いながらひとりでセッティング…が終わらぬうちにタイムオーバー。
引越しですか~?みたいな部屋に、むしろびっくりしてた。


いま友人のためにひとつ写真集をつくっている。
私に素敵な景色と経験をくれた、そのおかえしに。