* ふと4年前、総括でもないけど



4年前の日記を何となく読む。
Noismを初めて見たのが4年前。(そしてこの日記で実は佳子とつながったんだ)
今とずいぶん文章が違う。
誰にも読まれない前提で書いた日記。
自分の夫が死ぬ夢をみている。その頭蓋骨をあごの下にしっかりと据えられた感触と見たくないのに視界に入る褐色の丸みを思い出した。
現実にはない経験が夢でも積み重ねられている。

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夜中にプラスチックを踏み割るような音がして目が醒めると弟が言う。
なんだろうねぇ、と言いながらうちを出たけれどもしかしてあの日、夜の空気のなかに輪郭が混ざっていると感じながら、あらゆるところからの視線を当たり前のように受けとめて帰ったあの時くらいからの話ではないだろうか、とはたと思いつく。

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もう少し分け入ってみよう。
茎のにおいを感じるまで。
土の湿度が靴底を冷やすまで。

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当たり前なことが当たり前にできない、ということも私がかけた呪い。
その呪いのひとつが解かれつつある。

どんな過程もわたしの身にならないことはないと知っている。
知っていると思ったこの瞬間からそれを真実にすることができる。
だってわたしは自由だから。
だからなるべく嘘なく端折ることもなく歪ませることもせず、濃い味のまま受け取りたい。
苦しいことも幸せも震えも。
どんなに長い時間がかかってももぐもぐ噛んで飲み込んで、廻らせるんだ。
こう思っているのがまだ頭の表面だけなのかもしれないことにも気付いてきた。

ものごとや感情をどこかに預けて安心したり楽をしたりすることからそろそろ、足を洗って。
確実にかくじつに、言い聞かせる。