* memo/森山開次作品集



もう何年前だろう。
好きなジャズダンサーが出ている公演で知った森山開次さん。

今でも忘れられないのが神社での公演でした。
鬼火のように、精霊のように神社の林から現れた開次さんを今でも忘れられない。
光と影とを同時に持ったひとだ、と、踊りを見るといつも震えます。
新国立劇場でリハーサルをしているときにたまに喫煙ルームでお会いしたけれど「おつかれさまです」とご挨拶しかできず、あとはこころのなかで「もーー、すっごく踊り大好きです!」って叫びつつ、手に大汗をかきつつ、もくもくとタバコを吸っていました。

素敵なダンサーなのでぜひ。

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2009.2/9(mon)~15(sun) @新国立劇場 小ホール

●第一部「OKINA」 初演:2004年9月「DANCE EXHIBITION2004」
出演:森山開次、津村禮次郎
音楽:種子田郷

最古の能といわれる「翁」は、豊作を願う奉納の舞であり、祈りの舞として現代では神格化されているという。その「翁」をモチーフに、まったく新しく創作したコンテンポラリーダンス版「OKINA」。暗闇に浮かび上がる森山開次と、能楽師・津村禮次郎。ふたりの関係は月と太陽、父親と息子、ぶつかりあうふたつの魂・・・さまざまに形をかえ、時空も超え、みているものをブラックホールの中にいるような不思議な感覚に誘っていく。
森山と津村が世代を超えた身体の可能性を、水墨画にたとえられる種子田郷のノイズ音楽で、究極なまでにシンプルかつストイックに追求する作品。「森山開次が切り拓く地平」と評された、森山開次の出世作であり代表作。

●第二部「弱法師 花想観」 初演:2003年9月「舞姫と牧神たちの午後」
出演:森山開次、加賀谷香、津村禮次郎
音楽:笠松泰洋
フルート生演奏:木之脇道元

同名の下村観山の日本画にインスピレーションをうけ2003年に発表したコンテンポラリーダンス版「弱法師」を改訂上演。難波の裏の春、むせるような梅の香がたちこめている。はじめての恋の喜びに酔いしれる盲目の弱法師。しかし輝く時間ははかなくも終わりを告げる。鮮やかに夕陽が沈む中、父に連れられ弱法師は現実世界へもどっていく・・・。
新演出にあたり、音楽を「笠松泰洋さんの旋律と木之脇道元さんのフルートが、はかなくも強い梅の花と法師の揺れる心を紡いでくれるのでは」と森山より依頼。美しい恋のはじまりからやがて狂おしく終わっていくまでの時間がカラフルに彩られる作品。若き弱法師に森山開次、梅の精に加賀谷香、法師の父であり日想観の象徴として津村禮次郎。

●第三部 新作「狂ひそうろふ(くるいそうろう)」
出演:森山開次
音楽・パーカッション:YAS-KAZ
声の出演:津村禮次郎

能で「狂ふ」とは、神がかり的になって、または何かを思いつめて舞や歌を行為することで、自ずと芸の限界を披露することをあらわしているともいえる。よって、タイトル「狂ひそうろふ」とは、自ら観客にむかい「舞って魅せましょう」と芸をみせることを意味する。本作上演にあたり、叩いて音を鳴らすことは踊りのはじまりと深い関わりがあり、踊りの原点に立ち返るため音楽をYAS-KAZ氏に依頼。セネガル人ドラマー4名が紡ぎだす原初の音の中で森山開次が今魅せる究極の舞とは。祝祭的印象色濃く華やかに、祭りのように艶やかに、【音】そのものと共演する、ダンス作品の新しい可能性に挑む。

(新国立劇場HP