母の習字の先生の字がとても好きだった。線のふちのかんじも、たっぷりとしたまるみも、くっと曲がるその粋な角も、予感させるようなおわりかたも。どんなに気軽に書いた字もすべてよくて、字どころか、訂正箇所から引いた棒線いっぽんにもちからがあった。…
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