夢のなかの友人

いつかは会えるだろうと思いながらずっと逢うことを先延ばしにしてきた友人にやっと逢うことができた。
彼女とは、あるひとりのひとと、夢の文章と、写真で繋がっている。

遠くに行ってしまうというメッセージを受けたのでなんとか時間をつくってもらって、逢うことにした。
とても好きな場所があるんだとそこに連れて行ってくれた。
レジャーシートを合体させて座って、ワインとおやつで蚊に刺されながらずっと話をした。
だんだん誰と話しているのかわからなくなることがあった。
ずっと私がイメージしていた彼女ともちょっぴり違うし、今日はじめて逢ったひとにも思えなかった。
ただ話は尽きなかった。
暗くなって夕ごはんを彼女の家でごちそうになって、気づいたら夜中の12時をとっくに回っていた。
はじめて逢ったその日に泊まらせてもらうことになるとは思わなかった。

ずっと長いこと一緒にいる友だちみたいだった。
たぶんなかなか逢わなくても、彼女とはこれからもこんなふうに濃い時間を過ごすことになる気がする。


その共通の友人のことを、私はあまり知らなかった。
彼は私にいろんなことを教えてくれた。
私の絵を見て、なにかを見出してくれたひとだった。
写真を作品として撮ったらいい、とずいぶん昔に言ってくれたのも彼だった。
芸術に関する大きな本をある日どっさり送ってくれたり、夢の中でたくさんの芸術家と逢ったことを話してくれたり、大事にしている色鉛筆やライオンをくれたりした。
彼の夢のなかではいつも私は口のきけない男の子として出てくる。
長いことずっとそういうイメージの中だけで話をした。
わたしはもしかしたら彼にとって、彼のつくった世界の登場人物にすぎなかったのかもしれないなあと思う。
わたしもつくることの範疇のなかで、現実とはまったく別の場所を設けて彼と話をしていたのかもしれない。
どんなひとで、どんな仕事をしているのか、どんな過去を持っているのかも、まったく知らなかった。
外国に仕事にいってしまって、あるとき急にもう連絡ができないとメールがきて、そのままになってしまった。


でもたぶん、逢うときがきたら逢うんだろう。
彼女とあえたみたいに。