「エア・コンディションド・ジャングル」

夏から一緒に踊っているタイヨウさんの舞台。
どういう動きをするダンサーなのかは何となくわかっていたつもりだったけど、ひとときもつまらない瞬間がなくてこれは何なんだろう、と改めて思う。
ただ立っているだけで半分以上舞台にいるということを充たしていて、見ていられる。これは誰しもに備わっていることではもちろんないし、経験だけがこれを越えるわけでもない。
そこに加わる動きの中に「あらら…」みたいな良くない要素を見かけてゲージが下がるようなことだって有り得るんだけど、タイヨウさんはそういうこともなくてずっと興味深かった。
淡々と動いていても内部はめまぐるしかったり、つぎつぎと自分が受けている感触が気持ち良く(ひっかかる面白さも含めて)流れていく。
からだが静止していてもそれが実際に流れている時間への無理な逆らいがなくて、ちゃんと一緒に静止を過ごすことができる。
そこをすごく引き剥がして見せるやり方はよくあるしその多くが失敗しているんだけど、タイヨウさんの居かたはすごくよかったと感じた。
そこにもう一つ方向を付けるんだ!みたいな動きとしての面白さもいくつも含まれていたし。

ときどき女性みたいにも、老成した無性みたいにもみえた。
それはもしかしたら舞踏のひと独特のものなのかもしれない。あまり舞踏を知らないからわからない。

からだは冗舌だなと改めて思った。
しゃべり過ぎるくらいだ。
私はいつもしゃべり倒して支離滅裂で何も聞こえないみたいな踊りかたをよくしてしまっていると思う。きっと。
動いていないと、なんだかなにも語れていないみたいで不安になるのかもしれないな。辛抱できない。時間に負けてしまう。自分だけしか見えていない。
でもからだはもっと違う声色で話したがっている。
わたしもそんなからだが見たいと今は思う。
小さい声でも話せるからだのことを考えよう。
どんなからだがどんなことを話すのか、もっと知らなければ。

帰りにAAPAの演出の上本さんと美術の青木さんと門前仲町のおいしいお店で話す。
なんか私がまだ大学生くらいで、ずっとこうして話しながら色んな作品を作っていけたらいいのに。っていつも思う。
つまりやっぱりAAPAで踊ることは私にとってすごく面白いことだし、でもいつもちょっと足りないまま。自分の問題としてだけど。
何かが惜しい、って思う。
足りないからなんだろうって考えるのだから、悪いことじゃないけど。

+

タイヨウさんの舞台は14日、金曜日にも2回公演があります。
ぜひ。

■栩秋太洋「エア・コンディションド・ジャングル」
1月13日(木) 19:30
1月14日(金) 15:00 / 19:30
※開演30分前から受付開始

■会場:門仲天井ホール