* ACkid2010に出演しました





ACkidでのソロパフォーマンスを無事に終えました。
たくさんの方にお越し頂き、ほんとうに嬉しかったです。
窮屈な客席だったのに最後までご覧頂き、ありがとうございました。

彫刻家さんと尺八奏者さんとのコラボレーション。
最初お話をいただいたときにはおもしろそう!とわくわくしたものだったけれど、はっと我に返ってみたらそのパフォーマンスは10分とか15分とかいうものではなく、ちゃんとひと公演を私たちがせいいっぱい満たさなければならない。
つまり、1時間近くの作品にしなければならないということ。
そんな長い作品は今までつくったことがないし、ましてやソロ…と、青ざめました。

3人で1度だけ顔合わせをしたときに彫刻家の酒井さんからいただいた、同じものの繰り返し、蝉のぬけがらということばと自分が今とても気になっている命題のようなものを作品の軸に。
尺八の川口さんには尺八を触らせていただいて、その時に尺八の中を覗いたときに見えた景色(トンネルの中に笛の穴から光が差し込んでいる様子)を照明のアイデアにしました。

まったく打ち合わせもなく、リハーサルもなく当日。
会社を午前中だけで抜けさせてもらって、午後からずっとスタジオでぐるぐる悩んだ。
どう過ごそう?
大事なことは決まっている。
トンネル、蝉の抜け殻、生まれてからいままでの時間の旅、自分の気配に逢いにゆく、私が目を向けると生きる記憶、ここに生れ落ちた身体は無限じゃないけれどこころが無限なのはどこにも生みおとされなかったからかもしれない…、変わるものは死に続ける、変わらないものは死に向かわない…、繰り返し命をつなぐこと。
直前までそれを振付にする気がどうしても起こらなかった。
かたちにあてはめたくないからなのか、思いつかなくて手をつけられなかったのか、よくわからない。
でもどうしてもほんとうの即興でやりたかったみたい。
私の最新の40分を生きる、みたいな。
なんておおげさな。

照明は極力シンプルに変えずに行こうと考えていたのだけれど、酒井さんと一緒に来てくださった方が照明を操作できるということで本番30分前に急遽プランを変更し、お伝えすることに。
私が無音で踊って、川口さんが暗闇で吹いて、尺八と踊り、それから川口さんも踊ろう。
なんとかタイミングだけ照明さんに伝えたところで客入れの時間。


踊っていて、からだに影が入り込んだり光の遠くへ溶けていったり、からだはいろんな質感を持ちうるんだなあということを考えた。
ほんとうはそんなにたくさん余裕がなくて、ひとつの動きの次、また次、というふうになんとか残滓を追いながら、時には糸を切りながら切り返す瞬間だけを繋いでいった。
でもふと、本番だけ感じるこのからだの別もの感は一体なんなんだろうなあ、と。

最初の15分は無音でソロを。
酒井さんの作品はひとつひとつはとても楽しくてにぎやかなのだけれど、空間の中で対峙してみたら驚くくらい静かで、測れない重みがあった。
暗転になって10分~15分くらいの川口さんのソロ。
このとき私はなんかすごく水のようなものが見えて、その水面をずっと漂ったり触れたり、水の重さを思い出したりしていた。
暗転あけて水を引きずりながらもういちど辿る。
川口さんも一緒に踊ってくれてとても面白かった。
そう来るの??その道具どこから??みたいな意外性に、まるで打ち合わせていたかのように知らん顔をしている自分も可笑しかった。
やっぱり舞台上に自分しかいないのと、もうひとつお客さんの視線を集める存在がいるのとではまるで違う。
その中間でバランスをとることもできるし、関係性でなにかを感じてもらえる可能性が出てくる。

即興は楽しい。
ずっと自分にはできないと思っていたし、苦手だと思っていたけど、即興にしか味わえないことが確かにある。
けれどやっぱり、終わってほっとしたな。
よかった、踊りきれて。

打ち上げでも色んな感想を頂いて嬉しかったです。
見に来てくださった方々、応援してくださった方々、ありがとうございました。
キッドアイラックアートホールのスタッフの皆様、
主催のヒグマさん、この縁を繋げてくださった宮田さん、石原さん、
共演の酒井さんと川口さん、それから照明を急遽操作してくださった未来の画家さん。
ほんとうにありがとうございました。