* 『pieces of love Vol.1 つみきの家』 加藤久仁生

積み重なってゆく時間の表現にはっとした。
記憶や思い出、感触がそのまま現在の足元に積み重なっている。
消えてはいなくて、いつでもそこに降りてゆくことができる…。
写真のことを思った。
私にとって写真とは、こんなふうに生きているあいだのある感触を切り取って留め、あたためて、重ねていくものなのかもしれない。
いつでもその瞬間に立ち降りてその影を呼吸する。

踊りはまさに今その瞬間にその感触を生み出して畳みかけ、ほんの少しのタイムラグで上書きしてゆく、のかもしれない。

どちらにせよ、写真にしろ踊りにしろ、私は私のつみきのいえを持っていて、見てくれるひともつみきのいえを持っている。
私が取り出したワンシーンがそのひとのいえの扉をあけることができたら。
からだの感触ってそういうところでつながってゆくのかもしれない。

たいせつなことはすごく素直な感覚のなかにある。
それでいいんだ、と改めて思った。


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