* 夢/板張り映画館、姿を変えてあらわれる懐かしいひと



夢。
まゆちゃんと小さな映画館に来ている。
学校を改装したような映画館で、3階で上映している。
その場所に着いてすぐに向こうに男の子を見つける。男の子も同時に私を見つけてくれる。
やっぱりこのひととは趣味が合うんだなあ、と思ったとたん、何ヶ月か忘れていたけれどこのひとと私は親友だったんだということを思い出して急に幸福になる。
わあい、と飛びついて元気だった?とお互いにこにこして。

映画館の急な斜面はさらさらの板で出来ていて、簡単な椅子が並べてある。
ちょっと重心をずらすとそのまま落ちてゆきそうな椅子。
左奥に小さなテレビがあってなるべく近い席をとろうとするが、実際に上映するスクリーンは全然別のところから下りてくるのだと気付いて席を変える。

+

時々こんな存在が夢に現れる。
こいびととも違う。
生まれる前から近くにいるような。
もしかしたら自分自身のある一面なのかもしれないとも思う。
そうだとすると私の中にはこいびとみたいな兄みたいなでっかく頼れる男のひとと、薄氷のように透明ではかない妹のような女のひと、ふたりが同居していることになる。

目を覚ましてあのひとはいないのだ、いなかったのだと思うとほんとうにぽかーんとした気持ちになる。
でも今回は喪失感でいっぱいになったりはしなかった。
なにか、自分のなかに親密ななにかを確かめたような感触がある。