* 湖の上の村、狙撃/カンボジア



男の子は一生懸命、ここのひとたちがどれほど貧しいか、自分たちが勉強をするにも援助が要ること、ふつうの観光客は観光会社が用意したガイドと船に乗ってしまうからこの村には一切利益が落ちてこないのだけれどあなたたちはこうして僕たちの船を使ってくれたからそのことがどんなに村にとって役立つかということ、そういうことを話してくれた。


こうして生活に立ち入って写真を撮ることがとてもためらわれた。
ここのひとたちに笑顔はなかったから。


小さな姉弟が私たちを見るたびにこうして銃を構えて狙撃をする真似をしてきた。
もしかしたら可愛らしくふざけていたつもりかもしれない。けれどやっぱり笑顔はなくて、本気ではないかもしれないけれど憎しみみたいなものがこもっているような気がした。
私たちに向けての、彼女たちから生まれた憎しみではないだろう。
でも彼女たちは憎しみということを知っている。
闘ったり、攻撃をするひとがいるということを知っている。
そんなしぐさだった。

それとも、私のうしろめたい気持ちがそう感じさせたのかな。